中出農園のものづくり

PROJECTS-中出農園のとりくみ

中出農園は日々進化し続けます。中出農園の飽くなき取り組みをご紹介。

1歴史/代々受け継いできた水なすの種

祖父が貝塚市澤地区で水なす栽培を始めてから早60年。

 私たちは祖父から受け継いだ種にこだわり続けます。その理由として、水なすの出来が安定し、何より美味しい水なすができることにあります。
 また、種を自家採種する際はより生育の良い株を選び良い水なすを選んで採種しています。最善の注意を払い、種の管理・保管をすることも忘れません。泉州水なすを絶やさないためにも。これからもこの種を守り続けていきます。
 現在まで水なすの種を自家採取している農家さんは全体で数件しかおらず、ほとんどの水なす農家さんは種を種苗屋やJA から仕入れている為、毎シーズン水なすの味がブレるといった声を聞きます。しかし管理や保管も含め手間が省けるというメリットもあります。


2栽培/中出農園の水なすができるまで

 祖父が水なす栽培していた頃は自家採種した種を植え接ぎ木し、苗床を育てていたそうですが、接ぎ木技術や管理に手間がかかるため、父が農業を継いだころから自家採種した種を種苗屋で苗まで育ててもらう方法に変えました。そうする事で安定して良質な水なすの苗を確保できています。(※画像1)

秋から土壌づくりなど作業スタート!

 秋頃、種苗屋に預けていた水なすの種は苗となり当園に帰ってきます。水なすの苗床用に配合した土を使い、ポットに植え替えます。(※画像2)植え替えた水なすの苗床は専用ビニールハウスで定植に適した大きさまで育てていきます。また、この期間は秋~冬の寒い時期なので水なすに病気が出ないよう温度管理や水分管理を徹底して行います。(※画像3)
 当園では連作障害を防ぐため、秋から冬にかけ同じ土壌で他の野菜を栽培しています。主にみぶな、菊菜、水菜などの軟弱野菜。それらの作物を収穫後、年末にかけて水なす定植に向けた土壌づくりを行います。(※画像4)
 施設栽培で毎年水なす栽培するので土づくりにもこだわっています。有機質資材にこだわり、堆肥化した稲わらか、サトウキビの絞りかすを10a当たり2tをすき込み、炭素率13%のバーク堆肥も同じく10aあたり2t投入。さらに微生物資材も多く投入して土づくりに励んでいます。使用する肥料の種類は10種類以上にもなります。これらの努力により、祖父の代から60年近く同じ施設で水ナスの栽培ができています。


1月上旬、いよいよ水なすの定植

 翌年1月上旬。いよいよ水なすの定植です。(※画像5)こだわって作り上げた土壌に家族総出で水なすを定植していきます。その数およそ3200本。苗床はそれよりも多い本数を用意しているので、根の張りなどより良い苗床を選んで定植しています。2~3日かけて定植が終わるとハウス内は二重カーテン、畝には二重トンネルをかけて水なすが冷えないよう温めていきます。水なすは寒くても暑くても病気が出てしまいます。毎日の天気や温度によりに畝の二重トンネルの開け閉め時間を調整する事で水なすの生育を良好に保つよう徹底管理しています。
 3200本の株からそれぞれ一段目のつぼみが花を咲かせ始めると、一つ一つ人工授粉していきます。※食感が悪い果実ができないようにホルモン処理を行います。

2月中旬頃、水なすの初収穫が始まります。

 水なすの花が咲き、人工授粉してからおよそ2週間後、一段目のまるまるとした水なす(※画像6)が実り始めます。しかし一段成りの水なすは寒さと同じ株に他の実がないため、栄養の行き過ぎなどが原因で水なすの形が悪いものが多く、筋張っています。
また、2段目以降に成る水なすに比べて皮が少し硬くなりやすく灰汁も少しあるので、中出農園では2段目以降の水なすしか使用しません。3月に入ると少しづつ気温も上がり、2段目・3段目の水なすが次々と実り始めます。このころからタイミングをみて二重カーテン、二重トンネルを徐々に取り払います。
 当園の水なす漬物・水なす販売も試食をした上、この頃から販売開始しています。
夏のイメージがある水なすですが、実は早春の水なすがとても美味しいことを知っているのは作り手の水なす農家や漬物屋だけだったりします。4・5・6月が知る人ぞ知る、水なすの最旬です。

4月から8月 水なす農家の最盛期

 4月に入ると水なすにとっても人間にとっても過ごしやすい気候になります次々に実る水なすはそのほとんどがA 品(特撰)といえるほど水なすが美味しい時期になります。この頃から水なすの収穫量も日に日に増していき、合わせて需要も増えてくるので忙しくなります。近年ではこの時期からお中元代わりに贈答品として贈られることが大変多くなってきました。そして7・8月。
水なす農家としても漬物屋としても最盛期になります。水なすの収穫量はおよそ一日3500個!!(※量より質を重視するためあえて本数に対して水なすの収穫量を減らしています。そうする事で一つ一つの水なすに対して栄養が十分に行き届きます。)朝は4時ごろから収穫が始まります。
 デリケートな水なすは少し葉に触れただけでキズがついてしまい、商品価値が下がってしまいます。そのため収穫はもちろん漬け込み梱包、出荷までほとんどを手作業で行っています。
 また、この時期は暑さから水なすのツヤが無くなる艶なし果が増える時期でもあります。水なす農家や漬物屋の間では「ボケ」や「ボケナス」といいます。さらに水なすが病気や害虫にさらされやすくなるので気を張らないといけません。収穫した水なすは一個1秒ほどの早さでA,B,C,D, 外品に選別し、出荷していきます。

9月 水なすシーズンも残りわずか

 この時期になると暑さも落ち着き、水なすの品質も全体的に良くなってきます。とはいえシーズン中頑張って実を成らした水なすの木も人間でいえばおじいちゃん。最後までいい水なすが成るよう手入れすることで末頃まで水なすの収穫、販売ができています。
 9月末、最後の収穫と漬け込み出荷を終えると、ビニールハウスの換気を閉じてハウス内の温度を上げ数日かけて水なすの木を枯らしていきます。チェーンソーで根本を切った後、耕運機やトラクターを使って土の中にある根っこを掘り起こします。クワを使って根っこを回収し、水なすの木を片付けた後、軟弱野菜を栽培、もしくは何も植えずに土を休ませています。



3土地/泉州というトコロとは

水なすが水なすらしく育つ土地、泉州

 大阪でも泉州地方といえば関空国際空港や岸和田だんじり祭り!!そんなイメージをもっている人が多いと思います。そして大阪泉州の特産品といえば水なす!!中出農園直売所は関空から自動車で約15 分。最寄り駅は南海二色浜駅!!夏になると二色浜海水浴場は海水浴やバーベキューでたくさんの人が賑わいます。
 水なす栽培をしているビニールハウスは二色浜から300 ~ 500mぐらいの間に3か所あります。水なす栽培面積は現在35aで、栽培本数は約3200 本になります。海や山に囲まれた地はバランスのよい塩分を含んだ砂地が多くあり、また気候も暑すぎず降雨量も少ないところで、瀬戸内海の気候に非常によく似た温暖な地域です。そんな泉州地方の独特な気候や土壌は茄子の中でも栽培が難しいと言われる水なす栽培にとって相性のよい数少ない土地になります。
 また、一口に泉州水なすといってもいくつかの系統があり、その品種は一つではありません。中出農園では、昭和33年に初めて水なすの施設栽培を始めた祖父から種を受け継いで守り続けています。
 貝塚市でも特に水なすが美味しいといわれる砂を多く含み水はけの良い澤地区の土壌は水分含量が高く、果皮が柔らかく、灰汁の少なく、甘みが抜きんでていて形の良い実の採れる株から自家採種しています。だから同じ苗を貝塚市内の他の地区や他市で栽培しても同じような水なすにはなりにくく、他府県で栽培した場合でも見た目はあまり変わらなくても、果皮が硬く水分の少ない水なすになってしまいます。
 水なすを自家栽培している人たちからはよく、途中で水ナスの葉を枯らしたり、実がなっても泉州水なすのように水分豊富で皮が薄く、実が甘いものを栽培することは簡単ではないようです。
泉州以外の土地で栽培すると、本来の” 水なす” らしい” 水なす”が栽培できない要因は技術はもとより昔から培われてきた土壌や種の違いが大きいと言えます。



農園での思い出

 小さい頃は農園前でおじいちゃんが昼休憩の時間をさいて(兄)
とよくキャッチボールをしてくれたり、(弟)を釣りに連れて行ってくれたり、たまにトラクターに兄弟2人を乗せて楽しませてくれた思い出の詰まった場所です。もちろん捥ぎたての泉州水なす
を幼い頃から食べていました!とくに弟は幼い頃からおじいちゃんの漬ける水なすが大好物でした。中出農園はいくつか所有する畑の中でも3か所のみを水ナス栽培に使用しています。それは同じ泉州(澤地区)に畑があるにも関わらず、水なすの” 味” が変わるからです。美味しい泉州水ナスが栽培できる畑を厳選して水なすを栽培しています。

4環境/泉州水なすが美味しく育つには

 地元特産品である泉州水なすの味は種、土、肥料、水によって大きく変化するため、中出農園では土壌の栄養、水分量、温度、湿度などの環境管理を徹底して行います。

「中出農園の土壌」

 はじめて中出農園の土壌検査をしてもらった時は少し栄養不足だということがわかりました。中出農園では美味しい水ナスをつくる土壌の栄養バランスを保つため、1年間に数回、土壌検査を必ず行います。検証された結果をもとに土の栄養バランスをよい状態に保つようにしています。栄養豊富で砂地ベースの土壌は水ナスの根が張りやすく、栄養の吸収力もよくなるので泉州水ナスが育ちやすい土質になります。

「水分」

 喉が渇いたら僕たちが水を飲みたくなるように、基本的には土が乾いたら土に水をやり潤します。日当り加減や土壌の状態を把握し、的確に対応しないと美味しい泉州水なすは実りません。成長過程の水なすの顔を毎日ちゃんと見て、触れて状態を把握してから浄水器を通して水をあげるようにします。
 水の分量は感覚的な部分が多く、少なければ枯れてしまい、多ければ腐ってしまい、美味しい水なすが栽培できないのでバランス感覚が重要になります。
 現代では泉州水なす栽培のほとんどがビニールハウス栽培になり環境への対応が細かくできるようになりました。泉州水ナスは天候や状況に応じてハウス内の室温を分刻みで調節し、同じ畑でも日当りがいい場所、日陰になる場所により水分量を調節します。
また、土壌の栄養分析を定期的に行い、水なすの味を大きく左右する土の栄養バランスが大きく崩れることのないように肥料の調合なども徹底して行います。中出農園で培われた経験と日本の先端技術をほのかに活かして中出農園の泉州水なすたちは育まれています。


5漬物/国産素材にこだわった水なす漬物

使用するのは国産原料100%

 ぬか漬けといえば、酸っぱい、臭いというイメージがありますが、僕が作る水なす漬は熟成ぬか床と作りたてのぬか床をブレンドし、酸味と嫌な臭いを無くしました。そうする事で、泉州水なす本来の味が生きます。
 また、水なす漬を作る際に使用する米ぬかの品質は味にも直結してくる非常に重要なものになります。
 ですから、原料の米糠は中出農園の地元、貝塚市でコシヒカリとキヌヒカリをエコ栽培しているお米屋さんから精米したての米ぬかを分けていただき使用しています。米ぬかの対敵である虫も混ざっていることなく、品質は最高のものを使用していると自負しています。
 また、古くなった米ぬかは良質な米油が抜けてしまい漬物の味が落ちてしまう為、一切使用しません。作りたてのぬか床とブレンドする熟成ぬか床は、独自の製法で水なすを漬け込み、長期間熟成発酵したぬか床を使います。植物性乳酸菌をたっぷり含んだぬか床です。この二種類のぬか床をバランスよく合わすことで、水なす本来の甘みとぬか床の旨味が最大限生かされます。また、この製法は手間暇がかかるので当園だけでしか味わえない唯一無二の水なすぬか漬けです。
塩は米ぬかと同じく水なす漬の味に影響する非常に大事な調味料です。
僕がこれまで多種多様な塩を試してきた結果、水なす漬にもっとも合う塩は兵庫県産、赤穂の天日塩と地元、岸和田市で作られる漬物専用に作られた天日塩を使用する事にしました。
 この2 種類の天然天日塩は漬ける工程で使い分けています。ともにミネラルを豊富に含んでいます。※毎日の気温や湿度の変化により塩が水なすに浸透する加減が変わります。シーズンを通して味がブレないように塩加減を見極め、微量に調整しています。
 さらに、水なす漬の味に旨味とまろやかさを出す為、昆布は欠かせません。これもまた多種多様な国産の昆布を試してみましたが、北海道産の利尻昆布がもっとも水なす漬の味を損なうこと無く他の昆布より旨味もあり、まろやかな味に仕上がります。※水なすは漬物にすると本来の茄子紺色が抜けてしまいます。 その為、鉄(釘)などをぬか床に入れる手法が昔からありましたが、衛生面に問題があるため、安全性を考慮し、当農園では硫酸第一鉄を食品衛生法基準を大幅に下回る微量のみ色止めとして使用しています。


6味/水なす本来の甘さを大切に

栽培× 漬け× 思いやり=味

 中出農園の水ナス漬は” 優しく浅く”
塩分は控えめにし、健康を心配されている人にも美味しく食べて頂けるよう漬けこんでいます。また、国産原料100% はもちろん、水なす本来の味を存分に引き立たせるためにも化学調味料や甘味料、保存量など余計な調味料は一切使用していません。
 乳酸菌たっぷりのぬか床に漬け込んでいますので、水なす本来の味とぬか床の旨味を存分に味わって頂けると確信しております。


7販売/ラインナップやお召し上がりについて

【特撰水なす漬(和紙袋)】
3 個入り 6 個入り 8 個入り 15 個入り
【特撰水なす漬(ポリ袋)】
3 個入り 6 個入り 8 個入り 10 個入り 16 個入り
【家庭用水なす漬(ポリ袋)】
6 個入り 8 個入り 10 個入り 16 個入り
【(生)水なす】
10 個入り 15 個入り 25 個入り
【水なすセット(特撰)】
●水なす漬2 個+(生)水なす3 個
●水なす漬3 個+(生)水なす5 個
●水なす漬6 個+(生)水なす6 個
【水なすセット(家庭用)】
●水なす漬3 個+(生)水なす5 個
●水なす漬6 個+(生)水なす6 個

「ぬか床キット」も販売開始しました!
中出農園の商品を購入する


お好みの調味料や薬味(醤油、かつお節、しょうが)をかけても水ナス漬けは美味しくお召し上がり頂けます。
食べ頃を過ぎましたら、小さく刻んで水にさらした後、お好みの調味料や薬味(醤油、かつお節、しょうが)で水ナス漬けを美味しくお召し上がり頂けます。
※水なす漬は漬かり具合で日ごとに変わる味わいも楽しめます

水ナス糠漬けのお召し上がり方


  • ①水なすを袋から取り出し、水で糠を洗い流してから包丁でヘタを切り落とします。

  • ②切り落とした部分に*に切れ目を入れます。

  • ③手で裂いてそのままお召し上がりください。)

中出農園の水なす漬け! 食べ頃目安


8お届け/丁寧に梱包、箱詰め出荷

丁寧に育てた水なすを美味しく食べて頂くために

 水なすをいち早く漬物屋さんに卸していたのは祖父(幸夫)でした!!
水なすは色の変化や味の劣化が激しいことなどに問題があり、常温便での全国発送は難しかったのですがクール宅急便などのサービス普及にも背中を押される形で水なすの浅漬けが泉州の漬物屋さんから全国発送されるようになりました。それまでは泉州地域の人が主に消費していましたが浅漬の美味しさが評判となり平成に入った頃から全国的にじわじわと知られるようになり人気が出てきました。
 水なすは非常にデリケートな野菜なので中出農園では、梱包・配送の際には傷まないように丁寧に扱っています。配送業者の方々にも丁寧に扱って頂くよう注意を促しています。

※販売出荷する際には水ナスが痛んでいないか万全を期していますが、万が一、商品に不備があった場合は当農園にご連絡下さい。
天候により水ナスの大きさにバラつきが出る場合があるのでご了承お願い致します。



〒597-0062大阪府貝塚市澤1255
090-1486-1174(問い合わせ専用)
FAX 072-423-3835
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